響くのは仲間の声
前回、家を建てるため、妻に毎日500円しか妻に渡さず、使い道を毎晩チェックする夫の話を紹介しました。彼は妻から別居を切り出されて、クロッケに相談に来ました。
彼が始めた加害者教育プログラムは毎週1回、1年以上続けます。6、7人の加害者がグループになって、その週に起こった出来事を話します。なぜ、グループなのか。同じ立場の人の言葉が心に響くからです。
「やけに灯油代がかかるので妻に聞いたら、ファンヒーターを使ったというんですよ!家にいるだけだから、厚着して動けばいいんですよ!」
彼は自分は正しいと自信を持って発言します。すると、別の参加者から「奥さんも寒いし厚着だと動きづらいし。なんでそんなに倹約するんですか」と。
「家を持ちたいんです。男として当然でしょう?」
「ご家族から不満が出ないんですか?」
「僕が稼いでいるんですよ!家のことを決めるのは僕の仕事ですよ」
もう2年通っている参加者は「僕も最初はそんなふうに考えていました。でも、もしあなたが制約されたらいかがですか」
彼は次第に気付き始めました。妻と話し合っていなかったこと、相手の気持ちを想像せずに自分がすべて決めていたこと・・・。「妻から言われると腹が立ちますが、参加者の言葉なら受け入れられる」と彼は語ります。
そして家族と話し合い、新築住宅を購入を諦めて、中古に切り替えました。
皆さんはパートナーの声を真剣に受け止めていますか。ぎりぎりになって気付いても、修復が難しい場合も多いのです。夫婦は一心同体ではありません。「二心二体」ではないでしょうか。
☆事例は事実を基に再構成しています。
クロッケ代表・黒瀬茂子(広島市)