王様の愛情

 DV加害者の男性の中に、「王様の愛情」で妻と接して、夫婦関係がうまくいかなくなる人がいます。

 エンジニアの男性(38)は、事務所の妻(35)と小学2年の長男、幼稚園年長の次男の4人家族。「何を彼女が怒って家を出たのか、全くわかりません」。彼は最初の面談で、泣きながら訴えました。

 でも、彼の妻も泣いていました。「彼の実家は母親が家事を全部する家でした。だから彼に家事をしてもらおうとは思ってませんでした。でも、病気のときは別じゃないですか・・・」。最後は涙で声が出ません。

 何があったのでしょう。

 ある日、彼女はインフルエンザで39度の熱が出て寝込みました。その彼女に夫は言ったそうです。「大変だろうから僕と子どもは実家に帰るわ。ゆっくり寝なさい。僕らのことは心配しないで。具合が良くなったら電話して」。そして、彼の実家に3人で帰ってしまいました。

 彼にもう一度、そのときのことを聞くと、「どこがいけないのですか。彼女に迷惑を掛けちゃいけないからそうしたんです。子どもは母が面倒みてくれるし、ご飯や洗濯の心配もいらないし。僕の思いやりじゃないですか!」。彼はとても不満そうでした。

 皆さんはこの問題を、どう考えますか。

 逆の立場だったら、彼はどう思うでしょうか。インフルエンザで寝込んだとき、妻が子供を連れて妻の実家に帰ったらー。

 「冷たい妻だ」と非難しないでしょうか。

 妻は夫の面倒をみるのが役割ですか。夫は何もできないからしなくていいのですか。王様のように「我のことは気にせんで良い。良きにはからえ」では、夫婦は続きません。相手が困っていたら、助け合わなくてはならない。そう思いませんか。

 

☆事例は事実を基に再構成しています。

クロッケ代表・黒瀬茂子(広島市)