「何か嫌」の正体
夫からのドメスティックバイオレンス(DV)に、妻が気付いていないことも往々にしてあります。
ある日、クロッケを訪れた専業主婦の女性は「夫が帰ってくる時間になると動悸がするんです」と訴えました。
「夫に何か嫌なことでもありますか」と尋ねると女性は話し始めました。
「私がドジなものですから、夫をすぐに怒らせてしまいます。片付けが下手で、夫の書類をどこに置いたか分からなくなったり、夫の着る服がちぐはぐだったり。『役立たず』『死ね』と怒鳴られ、リモコンや茶わんを投げられます」。さらに「時々しんどくて寝込みます」と打ち明けました。
この女性自身、ある固定観念にとらわれているようでした。「妻は夫の世話をして当然」「夫の給料で食べさせてもらっている」・・・。そのために、夫からどんなに怒鳴られても、物を投げられても「仕方ない」「私が悪い」と思い込んでいました。
しかし、DVを自覚していなくても、体は反応します。鬱状態を招き、夫の帰宅時間になると手足が震えるなど心身の変調をきたす場合もあります。
夫婦・恋人の間で相手に気を使って、嫌なことを嫌と言えないことが問題なのです。考え方に違いがあるのは当り前。お互いの考えをすり合わせて、妥協点を見つけていく作業が必要です。
女性は夫の行為がDVで、すべて自分が悪いわけじゃないと気付き、ほっとしたようでした。「夫の顔色にびくびくしながら夫の世話をするのは変ですよね。自分のことは自分でしてもらえるように、夫に少しずつ伝えます」と話しました。
もう一度、夫婦の在り方を考えてみませんか。
☆事例は事実を基に再構成しています。
クロッケ代表・黒瀬茂子(広島市)